1.鑑別器材 |
(社)宝石鑑別団体協議会(AGL)では、基本的な鑑別作業において使用される機器として以下を定める。但し、必要に応じてその他の高度な分析機器や手法が用いられ、それらには破壊検査も含まれる。この場合、顧客の承諾のもとで行われる。 |
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通常の鑑別に使用される器材 |
宝石鑑別用光学顕微鏡/宝石屈折計/偏光器/直視型分光器/紫外線蛍光観察装置/比重液/比重測定装置/ニ色鏡/カラーフィルター/紫外・可視分光光度計/赤外分光光度計(FT-IR)/色比較検査用光源(D65)/シンチレーションカウンター。
必要に応じて、より高度な分析機器(LA-ICP-MS/EDXRF/X線回折装置/ラマン分光装置/光散乱レーザートモグラフ等)も用いる |
2.報告書の種類 |
(社)宝石鑑別団体協議会(AGL)では報告書の発行に際し、「鑑別書」および「分析報告書」の2種を設定する。 |
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(1)鑑 別 書 |
上記、「通常の鑑別に使用される器材」を使用して得ることが可能な検査結果を記載した報告書。 |
(2)分析報告書 |
より高度な分析機器(LA-ICP-MS/EDXRF/X線回折装置/ラマン分光装置/光散乱レーザートモグラフ等)を用いた報告書。尚、本報告書の発行は(社)宝石鑑別団体協議会(AGL)加盟機関全てに義務付けるものではなく、各機関の任意とする。 |
3.結果表記 |
鑑別の結果の表記は、以下の3項目で構成される。 |
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鉱物名
(Group/Species)
または素材名
(Material) |
【各種宝石の表記およびコメント】に従って記載する。【各種宝石の表記およびコメント】に記載の無いものについては、鉱物名(国際鉱物学会で承認された)または生物学上の呼称を記載する。 |
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人的手段を介さず自然界で生成されたこれらのものには、すべて“天然”の接頭語を冠する。 |
宝石名
(Variety) |
【各種宝石の表記およびコメント】に従って記載する。すべて〈天然〉の接頭語を冠しない。カラーバラエティの付加は任意とする。 |
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【各種宝石の表記およびコメント】に記載の無いものについては、その鉱物名または生物学上の呼称で記載する。光学的効果をもつ宝石には、その効果を表す接頭語または接尾語を付けて記述する。 |
開示コメント
(comment) |
処理の内容を明記する。但し、確証を得ることができないものには、その旨をコメントする。
鑑別対象石が多数の場合、報告書の結果表記スペースの都合上開示コメントは簡略化した表現で明記される。 |
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以下の宝石種は、人為的処理が広く行われているとされているが、現時点の鑑別技術ではその確証を得ることが出来ないものである。 |
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アクワマリン |
加 熱 |
シトリン(黄色、褐赤色) |
加 熱 |
クォーツ(緑黄色) |
照 射 |
バイカラー・クォーツ (黄色 /褐色) |
照 射 |
スモーキー・クォーツ |
照 射 |
モリオン |
照 射 |
スター・クォーツ (褐色、黒色、黄色) |
照 射 |
クォーツ・キャッツアイ(褐色、黒色、黄色) |
照 射 |
ピンク・トパーズ |
加 熱 |
トルマリン (赤色、ピンク色) |
照 射 |
(一部の青色、緑色、黄色等) |
加 熱 |
ジルコン (無色、青色、黄褐色) |
加 熱 |
タンザナイト |
加 熱 |
脇石に関する
結果表記 |
鉱物名は省略し、宝石名だけで表記される。 |
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開示コメントは簡略化した表現で宝石名の直後に括弧内に記載されることもある。 例:ルビー(加熱) |
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主な開示コメント |
簡略した表現 |
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透明材の含浸処理が行われています |
含浸処理 |
充填処理が行われています |
充填処理 |
加熱が行われています |
加熱 |
外部からの元素の拡散加熱処理が行われています |
拡散加熱処理 |
色素による着色処理が行われています |
着色処理 |
照射処理が行われています |
照射処理 |
単一または複数の処理が行われています |
処理 |
コーティングによる着色処理が行われています |
コーティング処理 |